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韓国製床暖房フィルムを12年納品して分かったこと

認証・熱量・ラミネート収縮は、仕様書の翻訳では埋まらない


韓国の床暖房用カーボンフィルム(면상발열체)の納品を始めて、約12年が経ちました。最初の数年間は、韓国側の試験成績と日本の現場が、同じ製品を指しているように見えました。納品を重ねるうちに、その前提は成り立たないことが分かりました。違いは価格でも、発熱の速さでもありません。認証の立て付け、熱量の測り方、ラミネートが熱で縮む寸法の三つが、取引の本体でした。

以下は、その12年で繰り返し当たった論点です。特定の工場や銘柄の優劣を述べるものではなく、日本側で荷を受ける者が、仕様を読む前に置いておくべき条件です。

認証は、国が違えば責任の所在が変わる


韓国で流通するフィルムの多くは、電気用品及び生活用品安全管理法に基づくKCの対象判断を経ています。リスクに応じて安全認証、安全確認、供給者適合性確認に分かれ、マークと認証番号の表示が販売の条件になります。工場検査の要否も、区分によって異なります。

日本で同じフィルムを販売する条件は、これとは別です。電気用品安全法(電安法)の届出事業者は、日本に住所を持つ事業者でなければならず、技術基準への適合確認、検査記録の保存、PSE表示は輸入者側の義務です。KC、CE、ULを持っていても、電安法上の義務を果たしたことにはなりません。


床暖房は、この線引きが特に分かりにくい製品です。経済産業省は、対象・非対象の解釈例として「床暖房用面状発熱体」「床暖房用コードヒーター」「床暖房用コントローラー」を個別に示しています。電熱シートについては、2014年1月1日に技術基準の省令が全部改正され、それ以降に製造・輸入する事業者は、改正基準での適合確認を求められました。床下に施設する面状発熱体は、対地電圧の読み替え、温度上昇、低温での機械的試験など、一般の電熱器具とは異なる確認項目を持っています。


現場でさらに効いてくるのが、法定のPSEと、取引相手が求める任意認証の差です。電気安全環境研究所のS-JETは、技術基準適合に工場検査を重ねた第三者認証です。日本電気床暖房工業会のS-JEFは、その上に同会が定める数十項目の試験と審査を通った製品に付きます。工務店や建材店が「認証はあるか」と聞くとき、指しているのはKCではなく、こちらのいずれかであることが少なくありません。


12年で繰り返した説明は、次の一点に尽きます。韓国で合法に量産されていることと、日本で届出事業者が責任を持って販売できることは、別の手続きです。日本向けは、100Vまたは200Vで刷り直したロットと、それに合ったコントローラでなければ、認証の話の前に熱量の話が崩れます。

カーボンの熱量は、測った条件までが仕様

韓国側のカタログに並ぶ数字は、通常「1平方メートルあたり何ワット」です。工場では、定格電圧、規定の周囲温度、規定の積み重ねで消費電力を測り、その値を熱量として出します。印刷カーボンは、版の厚み、インクの配合、乾燥で抵抗が振れます。PTC寄りの配合なら、温度が上がるほど抵抗が増えます。定抵抗寄りの配合なら、出力は落ちにくくなります。同じ「カーボンフィルム」でも、曲線はロットで違います。


日本の施主と施工店が見ているのは、その曲線ではありません。仕上げ材の表面が、生活できる温度で安定するかどうかです。フィルム表面が45℃でも、合板、遮音シート、フローリングを通せば、表面は30℃前後に落ちます。逆に、断熱が弱く家具で覆えば、フィルム側は仕様の上限を超えます。韓国の試験治具は、オンドルのモルタル埋めや自国の乾式下地を想定していることが多く、日本の捨て貼りとフローリングの熱抵抗とは一致しません。


測定器の差も、初期には争执の原因になりました。非接触の放射温度計は、光沢のあるPETや金属電極で低めに出ます。接触式の熱電対は、貼り方一つで数度動きます。定常に達するまでの時間を10分で切るか、60分待つかでも、報告書の「最高温度」は別の数字になります。韓国側が「定格消費電力」と書いた値を、日本側が「床表面で得られる熱量」と読んで発注した案件は、初期に何度かありました。消費電力は入力であり、床に残る熱は、下地へ逃げる分を引いた残りです。


いまは、発注前に三つの条件を固定しています。第一に、日本の使用電圧での消費電力です。第二に、実際に載せる仕上げ材と断熱材を重ねた状態の表面温度です。第三に、コントローラが入れる通電率です。この三つが揃わない「W/m²」は、比較の対象にしていません。